次世代シーケンサー(NGS)を臨床の現場で利用するクリニカルシーケンス(Clinical-seq)についての話題に接する機会が、昨年の末くらいか急に増えてきました。
25日(木)~27日(土)に開催されていた第73回日本癌学会学術総会でも、NGSを臨床の現場で活用する話題が多くありました。がん研究はとても難しいことが知られていますが、個人ごとのがん細胞の特性を見極める段階であることがわかります。
近頃のNGSは、測定速度が急速に速くなり、場合によっては数時間で計測が完了することも可能です。既存の方法では、1つの遺伝子上にあるわずか数個のゲノム変異マーカーしか調べられなかったことが、NGSでは疾患などに関わるとされる数十~数千遺伝子が網羅的に調べられるため、格段に効率が上がります。まだ「診断」には利用できないというルールがありますが、臨床研究としては実用段階に入っていますので、今後の展開が楽しみです。
アメリエフでも、自社が開発・販売するNGSデータ解析サーバーでClinical-seqに対応した解析システムのご依頼を多数いただくようになったので、第1弾として「がん」を対象に解析システム(パイプライン)を構築しました。
がんゲノムの解析だと、
1.腫瘍細胞のみを解析する場合と
2.同一患者の正常細胞と腫瘍細胞をペアで解析する場合
とがあります。
また、腫瘍細胞の検体とはいえ、腫瘍細胞の含有率が100%であることはほとんど無く、場合によっては10%しか含まれていないことも多々あります。そのような場合でもゲノム変異を検出しなければならないため、専用の解析ソフトウェアが必要になります。
最終的には、あるゲノム変異が抗がん剤などの薬剤感受性に影響するとか、予後が予測できるなど、何らかの臨床上の意味づけが必要になるため、既存のデータベースの情報と紐づけて、さらに臨床医が確認しやすいレポートにまとめられている必要があります。
まだまだ改善すべき点はありますが、できるだけ早くデータ解析システムを発売して臨床研究のお役にたちたいので、この秋からの発売に踏み切りました。
レポートシステムの内容や構成、どのデータベースを利用するかなど、ある程度ご要望に沿ってカスタマイズしています。代表的なデータベースであるClinVarやCOSMIC以外にも対応できる見込みですので、ぜひご相談いただけたらとおもいます。
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