仙台で開催されました第3回 生命医薬情報学連合大会に参加し、3回も講演する機会をいただきました。
この大会は、日本バイオインフォマティクス学会の年会でもありました。
一日目は「バイオインフォと医学の融合」というセッションで、「フリーソフトによるRNA-seqデータ解析」というタイトルで講演させていただきました。
私の前の演者の先生が「大腸癌特異的なABCトランスポーターのスプライスバリアント解析」について、臨床医の視点からご講演され、その実際のデータ解析についてご紹介するという内容でした。
二日目は大学院生向けの「キャリアセッション」で、企業で求められる人材像や産業としてのバイオインフォマティクスについてご紹介させていただきました。
昨年から声を掛けていただき本年も講演させていただいたのですが、学生さんの真面目さがとても印象的です。自分の学生時代を振り返ると、反省と同時にとても感心してしまいました。
三日目はランチョンセミナーで、ゲノム解析やクリニカルゲノム解析について講演させていただきました。次世代シーケンサーによってゲノムを解析し、疾患関連遺伝子を特定する手法や、がんゲノム解析をして腫瘍細胞のプロファイリングを行うことで、がんの治療や抗がん剤の薬剤耐性の検査に役立てる取り組みです。
個人のゲノム(遺伝情報)を調べる「パーソナルゲノム解析」は、個々人のゲノムを調べて、疾患の予防や生活習慣を改善する取り組みのことですが、臨床の現場ではより直接的に治療や診断に活用する方向で、実用化に向けて研究が進んでいます。
データ解析の手法はまだ確立されているとは言い難いので、現時点で一般的に利用されている手法の一つをご紹介させていただきました。
三日間の学会を通して強く感じたことは、ポスターディスカッションが非常に活発で、人的なネットワーキングを広げる効果が高く、とても勉強になりました。
三日目の午後の公開セッションでは、「ゲノム配列情報から個人を特定できるか」をテーマに3名の最先端の研究者がデータを解析し予測するという企画がされました。詳細は省略しますが、法学者の辰井聡子先生から法律や倫理についてのご講演もあり、とても考えさせられる内容でした。
その後、パーソナルゲノムサービスを展開されているジーンクエスト社の高橋社長と、MYCODE(マイコード)というサービス名で展開されているDeNA社の南場さんのご講演がありました。
両社の取り組みについて共通していることは、日本人のゲノム情報とエビデンス(科学的根拠)を収集し、健康について考える機会を作ることで、みんなが幸せに健康である社会を作りたい、という強い情熱でした。
研究者・技術者としてだけでなく、経営者としても大変勉強させていただきました。ありがとうございました。
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