本日の日経産業新聞16面「生活・食品・医療」の紙面に、MR(医薬情報担当者)の削減やビジネスの仕組みが変化しつつあるという趣旨の記事が掲載されていました。
その記事では「個別化医療」が一つのキーワードになっていました。
個別化医療(Personalized Medicine)という言葉は、オーダーメイド医療という言葉の別名にもなっています。何年も前から注目されていたキーワードですが、この数年でいよいよ実現化されてきています。
有名なところでは、「ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)」という抗癌剤が、東洋人に比較的多いある遺伝子多型(SNP)を持った患者には良く効くことがわかっています。
個別化医療では、既存の医薬品の使用方法から、効果の高い患者に絞って投与するということです。
これまでの方法では、誰に対してもまんべんなく使用するため、効果が出る人はいいですが、効果が出ない人には時間とお金の損失になりますし、副作用が出てしまった場合は、命の危険が増えたうえに、副作用の治療にまた別の薬剤を投与して、ますます時間とお金がかかってしまいます。
話を戻すと、この記事では大手外資系製薬会社では、この個別化医療の営業方法を導入してきていると紹介されています。今後は多数の医薬品営業が個別化医療に対応した販売方法に切り替わってくるとおもいます。
現時点ではまだ、遺伝子多型と薬剤との関連を示したエビデンス(薬剤感受性遺伝子の研究による証拠)が少ないため、いっきに普及する勢いはありません。
が、次世代シーケンサーや次の第三世代シーケンサーが普及してくると、研究が今以上のスピードで進展し、将来は臨床現場でも検査装置に数mlの血液を投入するだけで、薬剤感受性遺伝子の多型情報が測定される時代が必ず来ます。
血液成分を検査する装置が今では測定装置にかければ数分で結果が得られるように、遺伝子型を簡単に調べられる時代はすぐ近くまで来ています。
薬剤感受性遺伝子の研究は、10年くらい前からSNP(一塩基多型)による研究が盛んに行われていますが、現在は、次世代シーケンサーを併用して解析する研究スキームに変わりつつありますので、膨大なデータの解析を支援(解析の受託やシステム導入、トレーニング)していきたいとおもいます。
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