医薬品の副作用は避けて通れないものですが・・・

最近の新聞などの報道で、抗がん剤「イレッサ」の副作用で死亡に至ったケースの訴訟のニュースをご覧になったかたも多いとおもいます。
前職で医薬品の開発(第三相試験や市販後調査など)に関わっていましたし、現職でも治験届エディターをリリースしたり、基礎医学研究に携わっているので他人事ではありません。

イレッサは国内でスピード承認された抗がん剤で、非常に注目された抗がん剤のためか、市販が開始されてすぐに多くの患者さんに処方されました。

新規に市販された医薬品(特に抗がん剤)の場合は、まれな副作用が発生する可能性も高いので、ベテランの医師が注意を払いながら処方して予後を観察し、重篤な副作用を発生させないように管理していくのが通常です。その結果として、臨床的なデータが揃うわけです。

大半の医薬品では熟練度の低い医師でも新規市販薬を処方できるため、イレッサのケースでは臨床的データが揃う前から多くのがん患者さんに処方されてしまい、非常に残念な結果となってしまいました。

この事例からの教訓として、重篤な副作用が発生する恐れのある薬剤については、少なくとも市販後一年間は「第四相試験」としての性質を今以上に持たせるべきで、ある程度の設備が整った医療機関と熟練の医師(専門医認定を持つ医師)のみに処方を認めてインフォームドコンセントを徹底するなど、厳しくルールを整備する必要があるのではないでしょうか。

当局が認可した医薬品はすべてが安全というわけではない(リスクとベネフィットのバランスを考慮して承認した)のですから。

注)副作用の重い一部の抗がん剤や医療用麻薬は処方できる医師が制限されています。

【参考】
日経BP社 Biotechnology Japan 宮田満氏のブログ記事
Wikipedia「ゲフィチニブ」(商品名:イレッサ)

コメント

タイトルとURLをコピーしました